「ふぁ~っ眠い…。」
「でも起きないと…。」
「あ゛っ…もう6時30分!?」
「7時までには駅に行かなくちゃ遅刻しちゃうよぉ…。」
いつものような朝が来た…。
私はベットから起きていつも気に入っている猫柄のパジャマを脱いで
学生っぽく見えるように学生服のような感じのブレザーとスカートをはき
今日の講義のテキストと大学ノート、筆記用具などが入った鞄を持って
2階の私の部屋を出て1階にあるリビングに急いで下りた。
私は上原美咲22歳、今は大学3年生で英文科に通う普通の学生で
あまり友達もいなくて彼氏もいない…。
でも今の生活には困る事がなかったから生まれてからここまで私は
生きてきた…。
下のリビングには私のお母さんである優美子と妹の瑞希が待っていた。
「おはよう、お母さん、瑞希」
「おはよう美咲。」
「お姉ちゃんおはよう。」
父の陽彦は今は単身赴任中で、大阪の方で働いてるから今は私とお母さんと
妹の瑞希の3人で暮らしているという感じ。
「早くご飯を食べて行かなくちゃ学校の講義に遅れちゃう!!」
そう言いながら朝食のお母さん特製のピザパンをほおばり、それを
フルーツミックスジュースで飲み込んでしまう。
「お姉ちゃん、そんなにほおばらなくてもいいんじゃないの?」
「う~ん、ゆっくりしたいのは山々だけど瑞希と違って学校が遠いから
あまりゆっくり食べてもいられないよ。」
「それだったら早く寝たらどうなの?」
「う~ん…。」
確かにそうなんだけど…好きな音楽を聴きながら講義の課題を私の
力でこなすと11時ぐらいになっちゃって起きるのが6時30分だから
ちょっと大変と言おうと思ったけれど…家の時計を見たら6時45分を
さしていたから急いでリビングを出て玄関に向かい、靴を履いて外へ出た。
「うわぁ、急がないと9時からの講義に間に合わないよぉ…。」
私は全速力で自転車をこいで自転車で10分ぐらいの桜ヶ丘ニュータウン駅に向かった。
10分後何とか駅に着き、7時ちょうどの電車に間に合った。
「ふぅ…間に合ったよ…。」
私は小学校の頃からほとんど学校を無遅刻無欠席で卒業式には必ず皆勤賞で
表彰されてきたので遅刻だけは絶対したくないというプライドからだと思うけれど
遅く寝て早く起きてもがんばって行かなくちゃと思っていました。
電車の中では私のお気に入りの曲を集めたMDを聞きながら降りる駅まで
今日の講義の場所のテキストのチェックをしていた。
「次は羽丘、華音大学前…お出口は左側です。お降りの方はどなた様も
お忘れ物のないようお気をつけ下さい。」
「あっ、そろそろ降りる用意っと。」
私はテキストと携帯用MDプレイヤーをしまい羽丘駅で降りた。
大学前といっても羽丘駅からまっすぐ歩いて5分の所にあって、校内はかなり広いので
実際私の講義を受ける教室(といっても講堂みたいな場所)に着く時にはもう8時55分に
なっている事が多く、今日も8時55分に教室に着いた。
いつものように私の両隣は誰も座っていなく、右の席に鞄を置いて机の上にノートと
講義のテキストと筆記用具を用意して9時からの講義に間に合わせていた。
すると、いつもは右隣は誰もいないはずなのに私と同じロングヘアの女の子が座っていた。
最初は無言だったけれど、彼女が消しゴムを忘れたようで私に声をかけた所から始まった。
「あの…消しゴム…忘れて来ちゃったんですけど…貸して頂けますか?」
「あっ、良いよぉ。」
「ありがとうございます。」
「いいえ、どういたしまして。」
彼女は私の消しゴムを使って間違った部分を消して、私に消しゴムを返した。
「ありがとうございます、また間違っても貸して頂けますか?」
「うん、構わないよぉ。」
「本当ですか!?…ありがとうございます。」
そんな何気ない所から最初の出会いが始まった。